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雷山小過 らいざんしょうか

●飛鳥山を過ぎるの象

ひちょうやまをすぎる

上卦(じょうか)の震に過ぎ行くの象があり、下卦(かか)の艮(ごん)に山の象がある。そしてこの卦は大坎の卦であって、中の二陽は鳥の胴体で上下の四陰はその両翼とみる。これ飛鳥山を過ぎる象である。 彖辞(たんじ)に『飛鳥之が音を遺す宜しく上るべからず 宜しく下るべし』とあって元来鳥はよく高い所を飛び得る本性であるが、しかし始終飛び回ってばかり居たのでは翼を休めることもできず又エサを得ることもできないが低い所にいれば食を求め又遊ぶのにも便利である。故に、彖辞に『小事すべし大事すべからず』とあるのである。

 

※彖辞(たんじ):『易経』の各卦を説明した文章

●門前兵有るの意

もんぜんへいある

下卦の艮門とし、上卦の震を兵器とする。此の語句の兵とは兵士ではなくて兵器即ち刃物である。みだりに軽々しく門外に飛び出るときは門前に落ちている刃物のために傷つくことになる。即ち此の卦は進むに宜しからず、退くに宜しき卦であるので門前兵あるの意といったのである。