風の卦

風の卦 · 22日 5月 2022
 柔よく剛を制すという語があるが、此の卦がその象である。即ち下卦の乾が猛進しようとするのを、上卦の巽の柔順が之を制止しようとする象である。然しそれも何分柔の弱きを以て剛の強きを制すること故、長くは之を畜(と)められないところから小畜と名付けたのである。即ち小さく畜めるである。下卦の乾は暁とし上卦の巽を残月とする(坎を満月、兌を新月、巽を残月-下弦の月とする)下弦の月は、東方に暁の光さしむる頃には其光を失う。これその光長く天に止まらない故に語句をかけたのである。
風の卦 · 17日 5月 2022
 坤下巽上の卦である。上卦の巽を風とし、下卦の坤を地とする。又坤に物の衆多(しゅうた:数の多いこと)の意があるところより塵埃とする。又色では黄色とする。黄塵万丈(...
風の卦 · 04日 5月 2022
 離下巽上の卦である。離に窓の象があり巽に月の象がある。よって窓より月を見る象である。彖辞に『家人女の貞に利し』といい、彖伝には『女位を内に正うす』とある。即ち巽の長女は上に在り、離の中女は下に在って各々その序を保って家を齊(ととの)える卦である。東洋古代の道徳では凡(およ)そ一家の妻女たるものは猥(みだ)りに外出せず内に在ってよく家を守り治むるものを以て良妻貞女とした。我が国で家内とか奥さんとか呼ぶのがそれである。であるから良家に於いては他人がその妻女を見る機会が少ないことになるので、それはあたかも窓から月を見る如きものであるといったのである。
風の卦 · 02日 5月 2022
 此の卦は損卦の反対で上卦を損して下卦を益する故に益と名付けた。下卦の震を蘆(あし:イネ科の多年草)とし上卦の巽を風とする。これ巽風蘆花を拂う象である。此の卦は元々天地否の卦の初爻と四爻とが入れ替わったのであって天地否は外卦乾で内卦は坤であるが、その外卦四爻の一陽が下がって初爻に来て震の主爻となり、内卦の初爻の一陰上って四爻に往き巽卦の主爻となったので、これ上を損して下を益し彼を損して我を益すのである。乾を君とし坤を人民とする。又巽を命令とし震を耒(くわ)穀(こく)百草とする。上に在る君主、下に在る人民を憐れめば、下に在る民は君主に巽順してよくその命令に動くさまを風蘆花を拂うと喩えたのである。
風の卦 · 24日 4月 2022
艮下巽上の卦である。艮を山とし巽を木とする。これ山中に木を植えるの象である。樹木は草と異なって大木になるのではなく年を積み重ねて漸々(ぜんぜん)に生長するのである。それ故、此の卦を漸と名付けたのである。
風の卦 · 20日 4月 2022
 重巽の卦である。巽を風とし、それが重なっているから大風とみる。䬝風とは大風のことでオオカゼと訓ずる。支那大陸では大風の吹く時にはゴビ砂漠の砂塵を吹き上げて、遠く数百里の地にも及ぶので所謂『黄塵万丈(こうじんばんじょう)』といって空が黄色にみえるので、大風のことを䬝風と書くのである。又巽に舟の象あり、そして巽は二陽の下に一陰があって、物の顛倒(てんとう)とみるところから、舟を覆すの語をかけたのである。
風の卦 · 18日 4月 2022
巽を風とし坎を河海(かかい)の水とし、互体の震(二、三、四爻)を舟とする。全体から見て舟が水上に浮かび帆を張った象である。繋辞伝(けいじでん)に『木をくるめて舟となし木をけずりて楫(かじ)となし舟楫(しゅうしゅう)の利以て不通をわたし、遠きを致して以て天下を利す。盍(こう)し諸(これ)を渙に取る』とあるのは、この卦の全体の象を観ていったのである。 繋辞伝:易経の「十翼」の一つ。繋辞とは解釈の言葉を書き綴るという意味。 楫:水をかいて船をこぎ進める道具 舟楫:ふねとかじ、船を使って物を運ぶこと、水運
風の卦 · 17日 4月 2022
上卦の巽は木であってフタであり、下卦の兌は金で凹である。鍋釜は金で凹である。それで木の蓋をした象とみたのである。鍋釜と蓋では材料は金と木と異なっても鍋釜の蓋のしっくり合うところが中孚の意である。中孚とは、マコトと訓じ誠信の意である。人事において、我は誠意をもって彼に対し、彼もまた誠意をもって我に対するならば、あたかも鍋釜の蓋を得る如く万事シックリゆくとの意である。