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風雷益 ふうらいえき

●風蘆花を拂うの象

かぜろかをはらう

 此の卦は損卦の反対で上卦を損して下卦を益する故に益と名付けた。下卦の震を蘆(あし:イネ科の多年草)とし上卦の巽を風とする。これ巽風蘆花を拂う象である。此の卦は元々天地否の卦の初爻と四爻とが入れ替わったのであって天地否は外卦乾で内卦は坤であるが、その外卦四爻の一陽が下がって初爻に来て震の主爻となり、内卦の初爻の一陰上って四爻に往き巽卦の主爻となったので、これ上を損して下を益し彼を損して我を益すのである。乾を君とし坤を人民とする。又巽を命令とし震を耒(くわ)穀(こく)百草とする。上に在る君主、下に在る人民を憐れめば、下に在る民は君主に巽順してよくその命令に動くさまを風蘆花を拂うと喩えたのである。

●耒耜邦を利するの意

らいしくにをりする

彖伝(たんでん:卦辞と爻辞の解説や補足をしたもの。十翼の1つ)に『天施し地生ず其の益方なし』とあり大伝には『耒耨(とう:くわで草をかる)の利以て天下に教ゆ蓋(けだ)し諸を益に取る』とある。これに據(よ)って耒耜邦を利するの語をかけたのである。

 

 

※耒耜:中国で鋤(すき)と鍬(くわ)の農具のことをいう