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風地観 ふうちかん

●風塵埃を揚げるの象

かぜじんあいをあげる

 坤下巽上の卦である。上卦の巽を風とし、下卦の坤を地とする。又坤に物の衆多(しゅうた:数の多いこと)の意があるところより塵埃とする。又色では黄色とする。黄塵万丈(
こうじんばんじょう:強い風に吹かれて、土煙がもうもうと空高く舞い上がっているさま)という語があるが、支那本土では大風の吹くときゴビ砂漠の砂塵を吹き送られる有様を形容した語であるが、此の卦名の観は観示であって上より下を観示する象なれど易占では第五爻と上爻の二つの陽爻が高位にあって、他の四つの陰爻が、これを羨み望見する象とみるが、それは所謂、高嶺の花で手の届き兼ねる意がある。強いてそれを求めんとすれば不測の災いに出会うであろうと次の語句をかけたのである。此の卦は雷天大壮の卦の裏である。大壮は大いに壮んなりであるから、その反対の裏卦を大衰と名付けるべきところであるが、大衰という名はよくないので観と名付けたのであるが、然しその卦意には大衰の意が含まれているのである。この卦は消長卦であって、乾為天→天風姤→天山遯→天地否→風地観→山地剥となるところであるから、その人よく慎み戒めて事を処せないと、風塵埃を揚げる如きことに遭遇するであろうというのである。

●花を見て雨に遇うの意

はなをみてあめにあう

 これは初め楽しいことありとも後に憂うることある意である。前の地沢臨の卦は、叢生した黄花を眺める象であり、その反対の観卦は卦意よりして花の美しさに見惚れて帰りを忘れ驟雨(しゅうう:にわか雨)に遭う。即ち初め楽しみ後に憂うるという意を此の語句に含めて、それで観卦の意を示したのである。