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火山旅 かざんりょ

●日西山に傾くの象

ひせいざんにかたむく

 下卦の艮は山であり上卦の離は太陽である。互体の兌(三・四・五爻)を西とする。これ即ち日西山に傾く象である。又艮を家とし離をハナレルとする故これは家を出でて旅する意である。此の旅は憂きものとするのである。

●鳥を見て矢を失うの意

とりをみてやをうしなう

 離を鳥とし艮を矢とする。此の卦日の西山に傾く卦であるから、此の卦を得るもの亦落ちぶれて袖に涙のかかるとき、人の心の奥ぞ知らるるの境渥であるから遂に溺るるものワラをも掴む浅ましい心になりがちであるが、なまじいに他の甘言を信ずると鳥を見て矢を失う如き目に遇う故よくよく注意すべきものであるとの意である。