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雷火豊 らいかほう

●俊隼雉を獲るの象

しゅんしゅんきじをとる

 俊はトシ(敏)と訓じ、千人に秀(ひい)づるものをいう。隼はハヤブサで鷹の一種でその形は小さいが性非常に猛(たけ)くそして甚だ敏捷(びんしょう・すばしこいこと)である。此の卦の上卦震に隼俊の象があり下卦の離に雉の象がある。鷹狩の際、鷹匠が飛ぶ鳥を見かけて手に乗せる隼を放つと隼はその獲物を捕らえ得れば、その獲物と一緒に地上に降りてくるが、若(も)し獲物を逃がすときは鷹匠の元へは戻って来ず他へ逃げ去ってしまう習性があるので、占断上、此の卦を得る人、自分の勢いに任せて進み過ぎるときは恰も隼が獲物を逃して鷹匠の手元に戻り難きと同じ運命に陥ることがあるとの意を含めた語句である。

●残花雨を待つの意

ざんかあめをまつ

 此の豊卦は盛りの極まる意があるのであって、盈(み)つれば食し盛んなるものは必ず衰えあり奢れるもの久しからざるは天理である。残花とは散り残った花で今一雨降るならば、その残花も亦哀れ果敢なく散り落ちる運命にある。此の卦を得るもの此の卦意を体して善處すべきであるとの意である。