●海人魚を求むるの象
かいじんうおをもとむる
卦名の井は井戸である。それは人間生活上、缼(か)くべからざる飲料水を供給するところである。それ故、井字には養子の意があるのである。
海人とは海女(あま)のことである。上卦の坎は水で、下卦の巽は入(いる)である。そして巽を逆さまにすると兌となるから、少女逆さまになって水中に入った象であるり、なお巽に魚の象があるので、そこで海女が水中に潜って魚を捕える象とみたのである。
●病夫市に行くの意
びょうふいちにいく
坎を病夫とし巽を市とする。病人の身で市のような雑踏する場所へ出ていくのは徒(いたずら)に疲れるのみで何の益もない。それと同じく彖伝に『未だ井を繘(きっ)せず。其の瓶を羸(つか)らず、凶なり』とあって水を汲もうとしてかえってその釣瓶(つるべ)を傷(そこな)い破るの意を此の語句にかけたのである。
彖伝(たんでん):卦辞と爻辞の解説や補足をしたもの。十翼の1つ