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澤火革 たくかかく

●腐草蛍火の象

ふそうけいか

 卦名の革はアラタムで、上卦兌の金が下卦離の火のために焼かれてその形を変ずるところより革と名付けたのである。『腐草化して蛍となる』の語は旧六月大暑の月令から引用したのであって、此の卦の上爻は蛍の触覚で五・四・三爻の陽爻は、その胴体であり下卦の離は蛍の尻の光と見たのである。

●金を賣り物を買うの意

きんをうりものをかう

 上卦の兌は金で下卦の離は火であるから、五行生剋(ごぎょうしょうこく)の理から見れば、これは火剋金(かこくきん)となるから甚だ凶卦の如くであるが、天下の事物は生剋共に必要なのであって、或物は剋せられる故に、その用途を得、其の功用を顕すことができるのである。此の革卦などはその相克(そうこく)の有用を示した好例である。金銀銅鉄も唯山の中に埋蔵されていたのでは唯の石にすぎないのであって、これを掘り出して火で焼き鍛えて鍛えてこそ始めて天下の名器ともなれば宝ともなるのである。此の卦は鉱石が離火によって或る形体となった金属(上卦の兌)に革まったというところから金を賣って物を買うという語をかけたのである。

 

 

五行生剋:五行の関係を解釈する五行相生と五行相剋の二つの立場の併称

相克:五行相生の対