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地風升 ちふうしょう

●橋上往来の象

きょうじょうおうらい

 卦名の升はノボルと訓じ、下卦巽の木が上卦坤の地の下に在るも時節到らば地上に出て成長し升り進むの義である。下卦巽は木であり又進退の象がある。上卦の坤を衆多(しゅうた:多いこと)とする。木の上を多くの者が進退し往来する。それは橋である。よって橋上往来といったのである。

●三月説び有るの意

さんがつよろこびある

 三月は新緑の候である。風地観の卦は地上に巽木ある象であるが、此の地風升は巽木地下にある象で、それはあたかも果実を地中に播(ま)いた象で、やがて春来れば、その果実は発芽し生長して旧三月(新暦3月下旬~5月上旬)晴明(せいめい)穀雨(こくう)の候となれば枝葉繁茂するので、三月説びありといったのである。けれども、その旧3・4月頃樹木の若枝の伸びるさまは唯徒(ただいたずら)に先へ先へ伸びるが、その伸びる枝は柔軟で堅固(けんご)でない。それは丁度年若い人が唯先へ先へ進むことのみ焦って基礎を堅めることを疎略にするところと似ているのであって、此の卦を得る人にその傾向が充分あるところから3月説びありとの語句をかけて戒めたのである。

 

 

晴明、穀雨:二十四節気の1つ