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天風姤 てんぷうこう

●果樹頭に有るの象

かじゅとうにある

 姤は遇である。消長(しょうちょう:盛んになることと衰えること)では坤為地→地雷復→地沢臨→地天泰→雷天大壮→沢天夬そして乾為天の純陽となったのであるが、それが今天風姤となると再び陰が下に生じて玆(ここ)に卒然として五陽が復一陰に遇ったのである。又乾に果実の象があるから、これ樹頭に果実ある象である。此の卦は純陽の時に卒然として一陰下に生ず。この一陰が巽卦の主爻であって躁動するのであるが、上卦の乾が剛健故にそれを侵して俄(にわ)かに取り難きに喩えたのである。

●鳳出でて鸞に逢うの意

ほういでてらんにあう

 鸞とは、鳳凰の一種でその形は鶏に似ている。此の姤の卦は一陰で五陽に遇う象であるが、それはあたかも娼婦が多くの男子をあしらう如き意なので、その淫婦が衆男を惑わす如きを喩えて鳳出でて鸞に逢うといったのである。彖辞(たんじ)には『女壮(さか)んなり女をめとるに用いること勿れ』とある。