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雷水解 らいすいかい

●川を渉って未だ乾かざるの象

かわをわたっていまだかわかざる

 上卦の震の春陽の気が下卦の坎の冬氷を解く意から卦名を解と名付けた。坎を川とし震を足とし又渉るの象がある。互体に坎があってその互体の坎水は震の足に着いている。これは足の未だ乾かない象である。此の卦は水山蹇の卦の反対で、そして水雷屯の卦から来たのである。即ち、屯と蹇の難み(かたみ:困難)は解けたけれども、なお坎の険難から遠ざかってはいないから、これは川を渉ってその足の濡れたのが未だ乾かない如くである。誰でも屯蹇の難みを脱して一安心を得ると、遂気の緩みが出て怠りの心が生ずるのであるが、此の解の時期は未だ全く屯蹇の難みから遠ざかってしまったのではないのであるから、緊張を失わないように努めないと再び屯蹇の難みに戻ることにならうという意のなのである。

●雷雨緩散の意

らいうかんさん

 上卦の震を雷とし下卦の坎を雨とする。初夏の候、天地が鬱結して重苦しい際に雷電とどろき沛然(はいぜん:雨が盛んに降るさま)として雨降らば否寒の気伸び晴れ晴れして地上の生物皆生気を呈するであろう。然し乍(なが)らなお屯蹇の難み急には去り尽くし難い時故に、雷雨緩やかに散ずといったのである。