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火澤睽 かたくけい

●桃李美を競うの象

とうりびをきそう

 此の卦は兌を下にし離を上にする。離の火は炎上し兌の水は下降する。これは上下相背くから睽と名付けた。離は赤色で人倫では中女である。兌は白色で人倫では少女である。中女といい少女といい共に年若い女であるからそれを花に喩えて離の中女を桃の花、兌の少女を李(スモモ)の花になぞらえて二女同居して親しくゆかないところから美を競うの語をかけたのである。

●方円用有の意

ほうえんようあり

 睽はソムクと訓じ、離火は炎上し兌水は下降して相背くけれども亦相通ずる意がある。彖伝に『天地睽いて其の事同じ、男女睽いて其の志通ず、万物睽いて其の事類す、睽の時用大いなる哉』とある。いわゆる『逆縁の相生』で世の中の実際に於いて全然相反する2つの性質に拘わらず、それが相和する場合を夫婦交友間などでしばしば見受けるのである。その事実が即ち睽の時用大いなる哉であるのである。