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火地晋 かちしん

●満地錦繍の象

まんちきんしゅう

 卦名の晋は進むであって元々地火明夷から来た卦である。明夷のときは離の日、坤の地下にある象であるが、晋は離の日、坤の地上に出て太陽の光輝、普(あまね)く地上を照らす象である。太陽が東天に昇り八方を照らすときは夜露(よつゆ)に濡れた草木のすべては、その光輝に映じて恰(あたか)も錦の繍を地上に布(し)いた如くであると晋卦の意を形容した語句である。

●人玉階に登るの意

ひとぎょっかいにのぼる

 玉階とは玉のキザハシで皇居宮殿の階段を形容した言葉である。此の卦は上卦の離明を君主とし下卦の坤順を臣下とする。即ち諸侯よく坤順で君主の命を体して國を治め民を愛し君主は離の聰明(そうめい:物事の理解が早く道理に通じていること)でよくその諸侯の忠勤を賞するので彖伝(たんでん)に『康侯用いて馬を錫(たま)うこと藩庶たり畫日三度挼す』といってある。即ち人玉階に登るとは立身出世の意である。