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地澤臨 ちたくりん

●黄花叢生の象

おうかそうせい

 上卦の坤は土で黄色を配する。下卦の兌は西方に配して秋を配する。又此の卦の全体は大震の卦であって草木叢(むらが)り生ずるの象あり、そして震に草の象がある。秋黄色の花の叢生するのは菊花である。此の卦は『消長卦』である。即ち坤為地→地雷復→地沢臨→地天泰→雷天大壮となる。陽進むとその勢い大いに盛んのようではあるが、大壮の卦の伏卦(ふっか)は風地観の卦で、これは大衰の卦である。そして地沢臨から風地観に至るには?爻変を要する故に彖辞には『八月に至って凶有』というのであって、これは霜に傲(おご)る菊花もやがて冬が来れば枯れてしまうのであって、おごるもの久しからずであるから、盛んなるときにその衰えることを思って永遠の計を立てなければならぬことを示したのである。

●少女母に従うの意

しょうじょははにしたがう

 下卦の兌を少女とし、上卦の坤を母とする。又兌を悦ぶとし、坤を順うとする。彖伝(たんでん)に『説んで而して順う』とあるのは、即ちこれである。少女が母に悦び順いゆく如く初爻と第二爻の陽がその剛に誇って妄進(もうしん:分不相応の昇進を望むこと)せず、柔順を守って漸進(ぜんしん:だんだん進むこと)すれば人事皆通達することを得るを示したのである。此の卦名の臨は進むであって臨むではない。