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澤雷隨 たくらいずい

●馬に乗って鹿を逐うの象

うまにのってしかをおう

 此の卦の下卦の震に馬の象があり、上卦の兌に鹿の象がある。即ち上卦兌の鹿の逃げるのを下卦震の馬がこれを追う象とみて、馬に乗って鹿を追うといったのである。その真意は、或一事にひたむきに没頭し目的の物をのみ追い求めんとして、反ってぬきさしならぬ深淵に陥る如き結果になることを戒めたのである。

●我動き彼説ぶの意

われうごきかれよろこぶ

 下卦の震に震い動く象があり、上卦の兌に説ぶの象がある。そして此の卦は、震の長男が兌の少女の後に隨(したが)い行く象である。即ち兌の少女が、震の長男に媚態(びたい:男にこびる女のなまめかしい態度)をもって秋波(しゅうは:色目)を送れば、震の長男それに恋情を催して兌の少女を慕い追う象とみるのである。これは男女間の関係に於いて陰陽の順に反した不純な配偶とみるのである。