●暁風残月の象
ぎょうふうざんげつ
柔よく剛を制すという語があるが、此の卦がその象である。即ち下卦の乾が猛進しようとするのを、上卦の巽の柔順が之を制止しようとする象である。然しそれも何分柔の弱きを以て剛の強きを制すること故、長くは之を畜(と)められないところから小畜と名付けたのである。即ち小さく畜めるである。下卦の乾は暁とし上卦の巽を残月とする(坎を満月、兌を新月、巽を残月-下弦の月とする)下弦の月は、東方に暁の光さしむる頃には其光を失う。これその光長く天に止まらない故に語句をかけたのである。
●相親しみ相疎んじるの意
あいしたしみあいうとんじる
此の卦の互卦(三、四、五、上爻にて)は「風火家人(ふうかかじん)」である。家人はシタシムである。又、二、三、四、五爻で互卦「火澤睽(かたくけい)」を観る。睽はソムクである。即ち相親しみ相疎むである。此の卦の爻辞九三に、夫婦目を反(そば)むといい、九四には孚(まこと)有って惕(おそれ)出づるは上志を合すなりとあるのがこれである。
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